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さくら、さくら。

無事母の3回忌を終え息子と京都、奈良へ。
都のさくらは盛りをすぎていたけれど、仁和寺の桜は見事に満開。
手を伸ばせばとどくほどの灌木のさくら。
満開の桜に交じってたくさんの外人さんが集まっている場所に
近づいてみると、なるほど、咲き誇る桜の森のかなたに五重塔。
春の景色の見事さにうっとりする。
それにしても日本の気のこまやかさはたとえようもない。
極楽鳥花の屹立する元気なシンガポールも好きだけれど
日本のたおやかな春の優美さはまさに世界に燦たるもの。
続いてお参りした大神神社の山野辺の久延彦神社への
道すがら眺めた道はまさに大和の春そのもの。
前を行く作務衣姿の男性がこれぞ奈良の春と導いていた
小道を辿ると、そこは春そのもの。咲き乱れる桜の木々に
点在する黄色の菜の花に交じって子供の頃おままごとで
遊んだ野花がいっぱい。思わず懐かしい!と声を上げてしまった。
私はほとんど写真をとらない。
いつもその場でその情景と気配を味わうことに専念する。
二度とはめぐってこないその時を楽しみたいからだ。
お参りのあとでいつも行く三輪そうめんのお店でむすこは
感に堪えぬ声でああ、ほんとにうまいなあと呟いた。
そうめん嫌いだった母は三輪そうめんしか食べなかった。
そのせいでむすこは三輪そうめんが大好き。
にゅう麺と冷やし、柿の葉寿司、たけのこご飯と
奈良の春の味を満喫した後、ちょっと変わった有機の
コーヒー店でチョコレートケーキとコーヒーを楽しんだ。
昔は時代劇に出てくるような茶屋しかなかったけれど
今はちょっと辺鄙なみわさんにも若い女性がいっぱい。
今回の旅の圧巻は奈良ホテル。
一度是非泊まってみたいとむすこにせがんだのだが
ほんとうに素晴らしいホテルだった。
明治42年の創業以来の建築を保ちモダンに維持している
名ホテル。その意匠を尽くした佇まいと庭園と接客は
本物が持つ格調に満ちたものだった。
さりげなくフロントに向かい合った壁に掛けられた
上村松園の花嫁。思わず惹きつけられてしまった。
それに驚いたことにフロントで部屋のグレードアップ
を告げられ、古色蒼然たるレッドカーペットを上った
2階のお部屋はなんとインペリアルスウィート!
お部屋の調度品はアンテイーク好きには垂涎もの。
ただ惜しむらくはお部屋には先住民がおられる気配。
以前古い蒲郡ホテルで感じたものと同じ。
朝粥をいただいた五重塔が見えるレストランの絵も創業以来
のものという。人間も百年生きて立派と言われるには
メンテをしっかり、新しいものをふるいものにさりげなく
取り入れる努力も必要だよとむすこに諭された旅だった。
by gokurakucyo | 2014-04-18 18:29 | Comments(0)

シンガポールの徒然を綴っています。


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